雄猫。コイツは困った奴で、初め飼うつもりは全くなかった。 うちの子たちが怖がるので雄猫を家に置いておきたくはなかったから、 家に来たら速やかに退去願っていたのだが、奴は強行手段に出た。 マーキングである。しかも”んこ”が庭といい駐車場といい玄関といい、 もんのすごい臭いを放って昼も夜もいたされるようになった。 こっちを飼い主と認めていないので、臭いを隠さないのである。 ブツを発見する度に「またあのク○オヤジがっっ!」と叫んでいたので、 名前は”オヤジ”になってしまった。自業自得(?)である。 前二文字が付かないだけでもマシというものだ。 そうこうしているうちに、うちの子達がこの雄猫の存在に慣れてしまい、 オヤジもまたうちの子になってしまった。 今は控え目にちゃんとブツを砂で隠し、大人しくしている。どうやら雄としては あまり、いや全然ダメらしい。病気がちだし。 |
1998,7月某日
この間、実家から電話があった。「オヤジねこ、いなくなったよ」
年寄りなのか、もともとじっと寝ているだけの猫だった。
なのにある日、いつもとちょっと様子が違っていた。
ひどく弱って、目ヤニだらけの顔をしていたが、
びくびくした様子も見せず、キチンと座って庭から母のことをじっと見ていたそうだ。
母は気になって、「どうしたの?」と話しかけながら猫缶をやった。
でも彼は見向きもせず、しばらくして立ち去った。
次の日、物置の隅で寝ているのを見つけ、やはり猫缶と水を置いてやったが、
少しも口をつけず、そのまま行方が知れなくなった。
「”ども、お世話さんでした”って、言いに来たのかしらねえ‥‥」
と、母はしみじみしていた。
特に可愛がっていたわけではないけれど、それなりに一緒に住んでいたものが
いなくなると、やはり寂しい。しみじみ。
これで雄はいなくなった‥‥‥‥‥と思いきや、
新たな雄がこのハーレム(?!)を狙っていたのである。
1998,7月末日
‥‥‥‥オヤジが帰ってきた。ちょっと元気になっていた。
猫病院にいっていたのかもしれない(^-^)
1999,1月某日
物置の屋根の隙間でひっそり一匹で死んでいたのが見つかった。
以前から、ハーレムを狙う「くろすけ」に苛められていて、足を噛まれて怪我をしていた。
もともと身体が弱かった上のその傷に、耐えられなかったのかもしれない。