<チビ>
長年飼っていた白猫レオが死んで、犬のジョニーが死んで、 母と「もう動物は飼わないでおこうね」と言った矢先の出来事。
お隣の家の屋根に野良猫が子供2匹を産んだ。 私は計画的に一匹をなつかせるのに成功。それが”チビ”。
#計画的だったんならもっとちゃんとした名前をつけたらんかい

この子は私にしかなつかず、時々私の部屋でちょこんと机のそばのスピーカーの上に座っていた。 たまに小さな声で「にゃ?」と話しかけてくるのがとても可愛かったものだ。 異変に気付いたのは次の年の春。
「この子、お腹おおきいんちゃう?!」
‥‥‥まだまだコドモだと思っていたら‥‥‥(T-T)
#とか言いながら、ほんとは産まれたての子猫を飼ってみたかったのだ。

私の部屋で産もうとするので、あわてて主のいなくなった犬小屋を掃除した。 そして2日後、チビは立派に4匹の子供を産んだのだった。

もと野良のくせに、さわっても引き離して遊んでも全然怒らないチビ。 でもやはりもと野良のせいか、1、2ヶ月して引っ越してしまった。 ものの本によると、猫科の野性動物は、出産時の血の匂いをたどって他の肉食動物が狙いにくるので、2ヶ月ほどで巣を変えるらしい。 どこにいるのか、数日に一度は家に遊びにくるのだが、居つかない。 某CMの551の豚○ンが「ある時」と「ない時」のような日々‥‥。 しばらくして近所の家の庭にいることが判明した。 それから母と「猫、なかの家誘致作戦」を展開、見事居つかせるのに成功した。 そんなことしておきながら、母はいまだに、「まったくもう。猫なんて飼うつもりじゃなかったのよ私は。だいたいあんたがなつかせるから‥‥ぶつぶつ」と言う。
#でも現在一番猫を甘やかしているのは母なのである。

チビは白い猫に多いと言われる皮膚がんにかかってしまいました。鼻の上に赤い痣があるなあ。。と思って、でも小さいので気に留めていなかった。
それが大きくなって来たので心配になって病院に連れて行ったら、もう鼻をまるごと取るしか治療法はないと言われてしまった。
悩んだ末、薬のみ与え、手術は見送ることにした。
がんはどんどん広がり、鼻から目頭の辺りまで、ケロイド状になっていきました。
初代レオも同じ病にかかり、最後は静かに息を引き取りましたが、チビは治りかけの傷を引っ掻いては悪化させるを繰り返しました。
エリザベスカラーをつければ一日中暴れ、薬をぬれば怒り狂い。。。。
そして 2005年の秋、逝ってしまいました。弱り切って、静かな顔で母に挨拶に来たチビ。。。
異変を察した母は、姿を隠してしまわないようにと家に入れて戸を閉めていました。
「どこへもいかないで、ここで死になさい。」と言い聞かせて。
痛みでずっとイライラしていたチビは、何ヶ月ぶりかの穏やかな顔をしていたそうです。
しかし、目をはなした隙に、テペが開けた扉から出て行ってしまいました。
それから二度と帰ってきませんでした。
私はもう結婚して家を出ていて、チビがいなくなった話を電話で聞きました。
すぐに実家に帰り、数日近所の野原や空き家を探して回りましたが、遺体も見つけられませんでした。
チビがいなくなったと聞いた次の日、熱出して寝込んでたのだけど、 夕方頃になんだか不思議な感じがありました。
チビが朦朧とした夢の中に出てきて、
子猫の頃からおとなになってからの幸せな感情や情景を思い出しているような、光に包まれた暖かい感覚が急に広がって、すうっと消えていった。
目が覚めて号泣して、「ああ、いま、チビは逝ったのだ。。。」と感じました。
もっと早くガンに気付いていたら、もっともっと可愛がってやっていたら。。。後悔は尽きませんが、
彼女の子供たちはまだ残っています。幸せをありがとう。

チビ一家の話に続く(”空”へ)

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